金子吉晴(維新政党新風)    行動保守の選挙担当として維新政党・新風に籍を置き真の戦後レジームからの脱却に邁進しています。

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"日米比較で分かる、日本のデフレと景気低迷の本当の原因" 日中・日韓断交の理論的根拠となる輸入デフレ論はまさに行動保守的経済論!!

 2012年10月23日の京都銀行Economic Reportは,”日米比較で分かる、日本のデフレと景気低迷の本当の原因
 わが国は長期にわたって「物価の持続的な下落」という「デフレ」の状態にある。
 しかし、なぜこのような「デフレ」と「景気低迷」の状態が長期にわたって続いているかという点については正しく理解されていない。そこで以下では、デフレと景気低迷の本当の原因を、日米の経済を比較しつつ明らかにしてみた。

デフレは耐久財中心に起きている
 「デフレ」は「一般物価水準の継続的下落」と定義され、2年以上物価の下落が続いている状態と一般に解釈されている。
 そして、わが国においてはそのような物価下落の状態が1995年以降15年以上も続いている。
 ところが、デフレの原因についてはさまざまな説があり、それは実際に経済活動に関わっている人々においても同様である。
 たとえば、日本経済新聞社が先に公表した読者アンケートをみると、図1にあるように、デフレの原因は多い方から、①不十分な金融緩和(全体の30・6%)、②消費や投資等の需要不足(同28・7%)、③グローバル化などによる競争激化(同23・8%)、④少子高齢化や人口減少(同16・9%)の順となっている。
 しかし、図2に示したように、わが国においては、「デフレ」という現象があらゆる商品やサービスにおいて同じ度合いで進行してきたわけではない。物価下落は耐久財(耐久消費財)にかなりの程度集中的に生じてきた。
 名目個人消費に占める名目耐久財のウェイトは1割弱にすぎないが、電機製品に代表される耐久財の値下がり率は非常に大きく、この20年間で約4分の1に低下した(1990年=100→2012年=28・5)。
 これに対し、残りの9割強を占める「耐久財を除く商品やサービ」(以下では「除く耐久財」ともいう)は、同じ1990年を100とした指数で2012年は106・2とむしろ上昇している。
 したがって、仮にデフレを「耐久財の価格下落」と定義するのであれば、先のアンケートにあった、①不十分な金融緩和、④少子高齢化や人口減少、との指摘は当たらないことになる。なぜなら、それらは電機製品等の特定の商品だけに影響を与えるものではないからである。②消費や投資等の需要不足、③グローバル化などによる競争激化という指摘も、耐久財市場における経済変化をふまえて表現し直す必要がある。
 以下では、こうしたわが国の物価下落と景気低迷の本当の原因について、日米の統計データを比較しつつ検証してみた。

耐久財の安値輸入品が大量に流入したことの”物価面”への影響
 まず、耐久財の安値輸入品が大幅に増加してきたことの影響から見てみたい。
 名目耐久財の消費額は国民所得統計によると年間25・0兆円である(2010年)。
 また、同統計によると、電気機械の名目消費額は13・5兆円と、名目耐久財消費額の54・2%を占めている。
 そして、電気機械の価格は海外から輸入された安価な競合品の大量流入によって下落を続け、耐久財の物価も大幅に下落してきた。
 こうした関係は、図3にあるように、個人消費の耐久財の物価を、電気機械の輸入物価や輸入数量と並べてみるとよく分かる。電気機械の輸入物価の大幅な下落と輸入数量の大幅な増加が、競合する国内電機の物価を押し下げ、それが耐久財全体の物価下落をもたらしてきた関係が見て取れる。

日本でのみ景気低迷が続いた理由
 ところで、このような安値耐久財の流入増加の影響をデフレの原因とする考え方に対しては、「安値輸入品の増加は日本だけでなく他国でも同じである。なぜ、日本だけがその影響を受けているのか」との反論がある。
 そこで、この反論に答えるため、アメリカと比較してみた(基本は他の先進国も同じである)。
 まず、図4では、個人消費デフレータとその内訳項目である耐久財、除く耐久財の動きを両国間で比較してみた。
 日本では過去20年間で耐久財は▲71・0%も下落したが、アメリカでは▲25・2%と日本の約3分の1の下落にとどまっている。
 なぜ、アメリカでは耐久財の値下がり率が日本より格段に小さかったのであろうか。電気機械の値下がり率は、常識的に考えると日米で異なるはずはない。
 確かに、図5にあるように、日本とアメリカの電気機械の物価の動きを比べてみると両国間でそれほど大きな差はない。アメリカでも電気機械の物価は下落したが、それ以外の耐久財の物価は下落しなかったことになる(除く電気機械は過去20年間で+2・5%上昇した)。
 このように、日本ではデフレと景気低迷が長期化したが、アメリカではデフレにもならなければ景気低迷にも陥らなかった。
 その差は、日本の場合には新興国等からの安値輸入品の影響が物価面にとどまらず、国内で競合する製品を作ってきた企業の生産を減少させ、雇用者の収入を減らし、それが国内総需要の減少という形でデフレと景気低迷をもたらした。
 しかし、アメリカでは国内に競合する企業がほとんど淘汰されていたため、競合する企業が生産を減少させられ、あるいは雇用者が収入を減らさなくてはならない事態にほとんどならなかったことにある。
 このことは、わが国の電気機械の名目総需要を国内生産額、輸入額と並べてみるとよく分かる。
 消費、投資、輸出等の需要項目を合計した電気機械の総需要は、図6の青色の点線にあるように過去20年間を均してみればほとんど増えていない。
 一方、供給面をみると、輸入額は黒色の実線にあるように1990年の2・5兆円から2010年には10・3兆円と10兆円近く増加した。総需要がほとんど一定の中で安値輸入品の流入によって輸入が増加したため、赤色の実線で示した国内生産額は減少するしかなかった。
 こうした電気機械の安値輸入品の存在が実質GDPにどの程度のマイナスの影響を毎年与えてきたかを計算してみると、無視できない規模であるのが分かる。図7にあるように、90年代の前半はそれでもGDPを▲0・5%程度押し下げる程度にとどまっていたが、徐々に拡大し、2000年以降は▲2%前後もGDPを毎年押し下げた。
 過去20年間のわが国の実質GDPの増加率は、均してみれば年率+1・0%にすぎない。仮に電気機械で輸入増加がなかったら、わが国は+3%前後の経済成長を毎年実現できた計算になる。
 これに対し、アメリカの場合には新興国と競合するような電気機械を作っている企業は、日本の対米進出の過程で淘汰されてしまった。このため、電気機械が大幅に値下がりした「恩恵」は受けたが、国内企業が減産を強いられる「被害」は小さかった。一例をあげれば、かつては世界トップの総合電機メーカーであったGE(ゼネラル・エレクトリック)も、現在では金融、航空機エンジン等のインフラ、素材・軍事関係等の幅広い業務を行う企業に姿を変えている。
 日本では10社を超える電気機械メーカーがしのぎを削っているが、それらに対抗できる電機メーカーはアメリカにはない。このため、アメリカでは新興国等から安値の製品が入ってくることによって需要が刺激を受け消費数量は大幅に増加したが、日本のように所得の流出はほとんど起きなかった。いわば日本だけが安値輸入品流入の負の影響を真正面で受けてきたのである。
 ちなみに、家電メーカーの企業収益と人件費を合計した付加価値額を日米で比較してみると、日本の5・9兆円(2011年)に対しアメリカは2・6兆円(同)と日本の半分以下である。
 全産業の付加価値額に占める家電メーカーの割合も、日本の2・7%(同)に対し、アメリカは0・4%(同)と7分の1にすぎない。

日本でのみ一般物価が下落した理由
 こうした日本における需要全体の減少は一般物価水準を押し下げる方向にも働いた。単純にいえば、2%の需要の減少は物価を2%引き下げる関係にあるからである。
 逆にいえば、安値輸入品の流入がなければ実質GDPは今より2%多く、物価も2%高かった計算になる。過去20年間の個人消費デフレータは年率▲0・4%であるから、それに2%を加えた+1・5%前後の上昇率となった計算になる。
 なお、数量(実質GDP)が何%変化すれば物価(GDPデフレータ)が何%変化するかは、その時々の需給関係によって異なるが、図8にあるように、1993年から2011年までの物価下落期について計算してみると、数量1単位の減少が物価を0・95単位低下させる関係になっている。
 2%の数量の減少が2%の物価下落をもたらすと仮定したのはこのような試算結果をふまえたものである。

日本のデフレと景気低迷は「分かりにくい危機」
 わが国では、今後も新興国等から安値輸入品が流入を続けるものと考えられる。なぜなら、日本の10分の1、20分の1の賃金で生活している多くの新興国の人たちが、日本にキャッチアップしてきたのが現在の結果であり、同じ製品が双方でできるのであれば、競争力の弱い企業がその影響を受けるのはやむをえないことであるからである。
 したがって、新興国等からの脅威にさらされている(あるいは、今後脅威にさらされる惧れのある)企業は万全の対策を講じる必要がある。そのような脅威の心配のない先においても、わが国の総需要が毎年無視できない規模でマイナスの方向に働いていることをふまえた対策が求められている。
 それにしても、日本人は「分かりやすい危機」にはうまく対応できるが、「分かりにくい危機」への対応は必ずしもうまくないといわれてきた。
 今回の長期にわたる「デフレと景気低迷」も後者の「分かりにくい危機」である。そのことは、冒頭でみた日本経済新聞社のアンケート結果が示している。
 まずは「本当の原因」を正しく理解し、国難との思いを持って乗り越えていく必要がある。(㈱京都総合経済研究所 東京経済調査部長 村山晴彦)
”と報道した(リンクはこちら)。

 長々と引用したが、久し振りに素晴らしい論文である。
 昨日紹介した日銀の失態を唱えるリフレ論がチャンネル桜的経済論とすれば、この日中・日韓断交の理論的根拠となる輸入デフレ論はまさに行動保守的経済論と言える。
 9割方内容は賛同できるが、いくつか批判というほどではないが異論があるので、その点を指摘しておきたい。

・「このように、日本ではデフレと景気低迷が長期化したが、アメリカではデフレにもならなければ景気低迷にも陥らなかった。」とあるが、確かに消費者物価指数を見ると、下表のとおりそのとおりである(リンクはこちらの40頁)。

消費者物価指数                    (2005年=100)
199520002004200520062007200820092010
日本100.7102.2100.3100.0100.2100.3101.7100.399.6
アメリカ78.088.296.7100.0103.2106.2110.2109.9111.7
イギリス86.093.198.0100.0102.3104.7108.5110.8114.5
ドイツ87.192.798.5100.0101.6103.9106.6107.0108.2
フランス85.791.098.3100.0101.7103.2106.1106.2107.8

 2000年を100とすれば、2010年は日本97.5、アメリカ126.6、イギリス123.0、ドイツ116.7、フランス118.5であり、日本だけがデフレである。
 しかし名目GDPや実質GDPではどうか。
 我が国とアメリカの名目GDPと実質GDPを比較すると次表のとおりである(リンクはこちら)。
  またついでだから実質の方は英、独、仏も載せておく。

3-3 国内総生産(名目GDP,米ドル表示)(1)
                                            (単位 100万米ドル)
国(地域)19851990199520002005200920102011
日本 a1,383,3813,082,736#5,348,8274,730,1024,578,1445,044,3885,510,7225,904,672
指数100222.84#VALUE!341.92330.94364.64398.35426.83
指数 100#VALUE!153.44148.51163.63178.76191.54
アメリカ合衆国4,184,8005,754,8007,359,3009,898,80012,564,30013,898,30014,419,40014,991,300
指数100137.52175.86236.54300.24332.11344.57358.23
指数 100127.88172.01218.33241.51250.56260.50


3-5 国内総生産の実質成長率(1)
                                            (単位 %)
国(地域)20012002200320042005200620072008200920102011
日本 a0.40.31.72.41.31.72.2-1-5.54.7-0.6
指数100.4100.7102.41104.87106.23108.04110.42109.32103.31108.17107.52
アメリカ合衆国1.11.82.63.5312.71.9-0.4-3.12.41.8
指数101.1102.92105.6109.3112.69115.73117.93117.46113.82116.55118.65
イギリス2.92.43.82.92.82.63.6-1-41.80.8
指数102.9105.37109.37112.54115.69118.7122.97121.74116.87118.97119.92
ドイツ1.50-0.41.20.73.73.31.1-5.14.23
指数101.5101.5101.09102.3103.02106.83110.36111.57105.88110.33113.64
フランス1.80.90.92.51.82.52.3-0.1-3.11.71.7
指数101.8102.72103.64106.23108.14110.84113.39113.28109.77111.64113.54


 名目GDPにおいては、1990年を100とすれば、2011年は日本191.54、アメリカ260.50だからそれほど大きな差はない。
 ましてや1985年を100とすれば、2011年は日本426.83、アメリカ358.23だから、日本の方が数字が上である。
 また実質GDPにおいても、2000年を100とすれば、2011年は日本107.52、アメリカ118.65だからそれほど大きな差はない。

・「わが国では、今後も新興国等から安値輸入品が流入を続けるものと考えられる。なぜなら、日本の10分の1、20分の1の賃金で生活している多くの新興国の人たちが、日本にキャッチアップしてきたのが現在の結果であり、同じ製品が双方でできるのであれば、競争力の弱い企業がその影響を受けるのはやむをえないことであるからである。」とあるが、この考え方は明確に誤りである。
 「日本の10分の1、20分の1の賃金で生活している多くの新興国」であるからこそ、その乖離を埋めるものが為替レートである。これが購買力平価説に基づく為替レートの考え方である。
 もし現実の為替レートがそのような機能を果たしていないとすれば、それは制度が不備なだけである。日本政府としては現行の変動相場制にこだわることなく2国間で適正なレートを交渉によって決定すべきである。

・「今回の長期にわたる「デフレと景気低迷」も後者の「分かりにくい危機」である。」とあるが、これは誤りである。
 「今回の長期にわたる「デフレと景気低迷」」は決して「分かりにくい危機」ではない。
 「電気機械の輸入物価の大幅な下落と輸入数量の大幅な増加が、競合する国内電機の物価を押し下げ、それが耐久財全体の物価下落をもたらしてきた関係が見て取れる。」ことは、上記のような統計データを示すまでもなく、ショッピング・センターや100均ショップを眺めてみれば、すぐに気付くことである。
 しかし我が国の政財界がそのことを主張するのに躊躇するのは、「日本の10分の1、20分の1の賃金で生活している多くの新興国」の中心が支那であったからにほかならない。そこで自虐史観から支那をデフレの真犯人とすることにどうしても躊躇してしまうのである。
 そのことの直接的な原因は、支那が80年代の始めから1994年1月1日までに一方的に人民元を約1/5に切り下げたことである。特に最後の1994年1月1日は1回で2/3に切り下げたのだから、その影響は非常に大きかった(リンクはこちら)。
 グラフは次のとおりである(リンクはこちら)。
 昨日の最後に「やはり1994,1995年頃に我が国の不況の最大の原因があると考えるべきではないだろうか。」と書いたのは、まさにそのことを指している。

 さて「日本でのみ景気低迷が続いた理由」については、当方も「第2にやはり日本と支那及び欧米と支那における色々な意味での距離の相違ではないでしょうか。基本的に人種も文字も近いのですから企業の進出は容易ですし、それと日本には華僑もいますし在日南北朝鮮人もいるので、自然に経済関係は密になりやすいということでしょう。」と定性的には書いていたのであるが(リンクはこちら)、この論文のようにうまく定量的には論証できなかった。  
 ただ100均ショップの隆盛からすると、「デフレは耐久財中心に起きている」かどうかはやはり若干疑問がある。
 しかしいずれにせよこの論文によってこの問題点の理由がかなりクリアになり、新たな議論の展開があると思われる。
  1. 2013/08/07(水) 08:58:13|
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  4. | コメント:2
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コメント

ようやくマトモな主張が出ました(^^

 今回の京都銀行レポートは90%くらいは的確に90年代から続く日本のデフレ原因を特定していると思いますが、これは金子代表が以前から不況原因として強く主張してきたことに近い論説であり喜ばしいです。

 不正な人民元相場(固定相場)に言及していないことは残念ですが、シナからのメチャ安の輸入製品によって日本の産業が衰退していったことはまさしく事実です。家電だけではなく、製靴業、縫製業などは全滅して大きな雇用が失われてきたわけですから、90年代後半から活発になってきたシナとの交易は日本の経済収支において大きな(最大の)マイナス要因であったことは確実と思われます。
  1. 2013/08/07(水) 10:30:57 |
  2. URL |
  3. 金澤春彦 #I9J.Ic0c
  4. [ 編集]

金澤さんへ

 ありがとうございます。
 本文の中では「新たな議論の展開があると思われる」と希望的に書いたのですが、この論文が出たのは昨年10月ですから、今のところそうなってはいません。アベノミクスに吹き飛ばされたという感じです。
 明日はこの点に関連して書いてみます。
  1. 2013/08/07(水) 11:23:14 |
  2. URL |
  3. 金子吉晴 #0cYVgJ1c
  4. [ 編集]

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