金子吉晴(維新政党新風)    行動保守の選挙担当として維新政党・新風に籍を置き真の戦後レジームからの脱却に邁進しています。

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"NEEDSモデルの政府支出乗数 ~内閣府モデルとの比較~" 近年の輸入の増大から考えると1.5を超えることはないように思う!!

 日経新聞が「NEEDS日本経済モデル40周年記念冊子」の中で「政府支出乗数」の適正な推測値について論説しているので紹介したい(リンクはこちら)。

5章 NEEDSモデルの政府支出乗数 ~内閣府モデルとの比較~
           日本経済新聞デジタルメディア NEEDS事業本部 情報開発部 渡部 肇
 
 計量経済モデルが最も使われる用途の一つが、公共投資を1単位増やした場合に国内総生産(GDP)が何単位増えるかを示す「政府支出乗数」の推計である。本章では、猿山(2010)を参考に、NEEDSモデルの政府支出乗数と、政府・内閣府の2つの計量経済モデル「内閣府経済財政モデル」および「内閣府ESRI短期モデル」の政府支出乗数を比較する。

各モデルの特徴
 前節の比較表における各モデルの特徴をまとめると、以下の通り。
 ① 内閣府経済財政モデル(A)は、公共投資によって誘発される輸出の減少と輸入の増加が大きく、それが公共投資自体のGDPに与える効果を減殺し、結果として2年目以降の乗数が1を割り込んでいる。
 ② 内閣府ESRI短期モデル(B)は、名目GDPの増加の度合いは3モデルの中で最も大きいものの、GDPデフレーターも上昇するため、実質GDPの上昇は名目GDPに比べ抑制された格好となる。その結果、乗数は3年目に1を割り込む。また、設備投資はむしろ減少する。
 ③ NEEDSモデル(C)では、GDPデフレーターは内閣府経済財政モデル(A)とほぼ同様の動きになっており、内閣府ESRI短期モデル(B)のように、GDPデフレーター上昇によって乗数が押し下げられるという現象は起きていない。
 ④ また、NEEDSモデル(C)では、輸出入は内閣府ESRI短期モデル(B)と概ね同様の動きになっており、内閣府経済財政モデル(A)のように、輸出の減少と輸入の増加が大きいがゆえに乗数が1を割り込むほど低下する、という状況は発生していない。

 以上から分かるように、2つの内閣府モデルでは、それぞれについて各モデル固有の乗数押し下げ効果が働いており、そのため2~3年目以降に乗数が1を割り込んでいる。NEEDSモデルではそのような押し下げ効果は働かないため、乗数は5年にわたって1を超える水準を維持している。


 まず一見して思うことは、「結果として2年目以降の乗数が1を割り込んでいる」あるいは「その結果、乗数は3年目に1を割り込む」とあるが、このことは教科書的な「政府支出乗数」の定義からは非常に分かりにくい。

 その理由を考えると、ここで言う「政府支出乗数」とはあくまでも「計量経済モデル」の中の「政府支出乗数」であるので、教科書的な「政府支出乗数」では「輸出」あるいは「GDPデフレーター」のように定数と仮定しているものも変数扱いとなっているからだろう。

 もちろん厳密な将来予測をする際にはそういうことは当然必要なのだろうが、当方らのように政策の方向性を議論する際には簡略化された教科書的な「政府支出乗数」で十分である。

 この「政府支出乗数」について財政出動派はどの程度の水準と言っているかというと、「参議院国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会」の「国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査報告(中間報告)」では「筑波大学名誉教授 国際大学名誉教授 宍戸 駿太郎 参考人」の発言として次のとおりある(リンクはこちらの20頁)。

金融支援型の財政支出が日本の公共投資の通常の傾向である。その乗数効果を我々のモデルであるDEMIOSでシミュレーションすると、実質20兆円の公共投資の効果として、実質GDPがその約2倍、名目GDPがその約3~4倍拡大する。

 これはどう考えてもこれほど大きいとは思えない。例えば国と地方の歳出の純計は平成25年度で145.9兆円である(リンクはこちら)。
 「政府支出乗数」が3もあればそれだけで我が国の名目GDPの大半を占めてしまうことになるので、常識から言ってこのような結果はおかしいだろう。

 しかしこのままでは考えるよすががないので、もう少し中身が見えるように、教科書的な「政府支出乗数」の形で考えたい。
 さて教科書的な「政府支出乗数」の算定式についてはネットの中で色々紹介があるが、次が最も分かりやすいと思う(リンクはこちら)。

aamm_115さん 2014/8/1620:51:11
 公務員試験のマクロ経済にの問題について質問です。写真の問題なのですが、政府支出乗数の式で、ΔY=1/1-c・ΔGではなく、ΔY=1/1-c+ct+m・Gを使うのは何故ですか?また、この2種類はどう使い分けるのですか?

ベストアンサーに選ばれた回答
g_tvohgjbhgさん 2014/8/1706:45:56
 乗数は、①開放経済or閉鎖経済②固定税or固定税+比例税、という条件の組み合わせにより決定します。
 1/1-cは、閉鎖経済かつ固定税という最もシンプルな経済を想定した場合に使用します。
 1/1-c+ct+mは、開放経済かつ固定税+比例税というほぼすべての経済を想定した場合に使用します。
 tは限界租税性向、mは限界輸入性向を示しています。
 問題文から①や②の条件の有無、tやmが与えられているかどうか、などから、どの乗数を使うかは判断します。


 あとはc、t、mに値を代入すればよいのであるが、それについては現実の統計値から導くことが最も適切だろう。
 具体的には順序が逆になるが、まずtについては租税負担率を採用する(リンクはこちら)。
 これについては社会保障負担率を加えた国民負担率にするべきではないかという反論もあろうが、これはGDP統計の中で保険料負担を「民間最終消費支出」に入れているのかどうかという点にかかっている。この点は不明確であるので安全側で租税負担率だけにしておく。
 なおこれも平均税率と呼ぶべきもので限界税率は累進度の関係から若干上がる可能性があるが、安全側で見てそのままにしておく。
 t=0.233

 次にcとmについては名目GDPの構成値から推計する(リンクはこちら)。
 cはまず分母は可処分所得なので(1-税率)がかかることに注意する。その上で次の数字から計算する。
 (民間最終消費支出293,549.60+民間住宅15,314.30)÷{国内総生産(支出側)480,128.00×(1-0.233)}=0.84
 なおこれは平均消費性向と言うべきものなので、限界消費性向は若干下がることからその9掛けとする。
 c=0.84×0.9=0.76

 mは次の数字から計算する。
 輸入91,181.40÷国内総生産(支出側)480,128.00=0.19
 輸入の場合は平均と限界とにほとんど差がないと考えられるのでそのまま採用する。
 
 したがって、政府支出乗数=1/1-c+ct+m=1/1-0.76+0.76×0.233+0.19=1.64 となる。
  1. 2014/12/21(日) 22:45:13|
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