3月11日の産経新聞は,”
米地下鉄、中国大手が落札 1500億円で850車両
米シカゴの交通当局が購入する地下鉄車両計846両の国際入札で、中国の大手鉄道車両メーカー、中国中車の傘下企業が総額約13億ドル(約1500億円)で落札したと、新華社電が10日伝えた。中国メディアによると、中国の車両メーカーが先進国で受注した地下鉄車両事業としては過去最大。
シカゴ交通当局によると、中国中車側は約4千万ドルを投資してシカゴに車両組立工場を建設し、納入する車両をつくる。新車両は2020年に運行を始める予定という。”と報道した(リンクは
こちら)。
米国での高速鉄道の受注について楽観的な意見を主張している人達はこの結果を深刻に受け止めるべきである。
この「
国際入札」は一般競争入札だろうが、高速鉄道の場合も同じだろうから、「
地下鉄」で起きたことが高速鉄道で起きても何も不思議ではないからである。
それにしても「
846両」で「
約1500億円」、つまり1両当たり1.77億円とは日本側の価格感覚ではどうなのだろうか。
Wikiの「
東京メトロ10000系電車」では「
車両の価格は1編成10両で約12億円である。」、つまり1両当たり1.2億円とあるから(リンクは
こちら)、むしろこれよりもかなり高い。
ただ次のような報道もある。
2014年10月27日のレコードチャイナは,”
中国北車のボストン地下鉄車両受注、入札結果に不服の日韓企業が集団起訴も─中国メディア
2014年10月24日、中国メディア・人民網によると、米ボストン・ヘラルド紙は、中国北車が受注した米ボストン地下鉄車両の入札案件に関し、落選企業が集団起訴を起こす構えだと伝えた。
中国国有鉄道車両メーカー・中国北車グループは米マサチューセッツ州ボストンの交通当局から地下鉄284車両を受注。契約は5億6700万ドル(約610億円)規模だ。
米国で中国の鉄道車両が採用されるのは初めて。
今回の入札で中国北車が制したライバルには、韓国の現代ロテム、日本の川崎重工業、カナダのボンバルディアなど大手車両メーカーが含まれる。
しかし、これらの企業は中国北車の入札価格の低さは「現実的ではない」と訴える。
同紙によると、落選企業の入札価格は、現代ロテムが7億2100万ドル(約770億円)、川崎重工が9億500万ドル(約968億円)、ボンバルディアが10億8000万ドル(約1150億円)。”と報道した(リンクは
こちら)。
「
地下鉄284車両」で「
川崎重工が9億500万ドル(約968億円)」とあるから、1両当たり3.41億円である。
こうなると問題はやはり価格差である。
ここでいつも「中国は人件費が安いから」云々という人がいるが、これはいつも言うように完全に間違いである。
人件費に高いも安くもなく、すべては為替レートの問題である。
具体的に言えば、人民元が安過ぎるのである。
そういう点では次の発言は全くのナンセンスである。
2月26日のロイターは,”
中国の為替政策は透明、人民元に特別な問題ない=黒田日銀総裁
中国・上海で開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席する黒田東彦日銀総裁は26日午後、都内で記者団に対し、中国の為替政策は透明であり理解できる、と語った。
総裁は昨夏以降、不安定な動きとなっている人民元の動向について「最近の状況をみると安定しており、特別な問題はないと思う」と指摘。中国の為替政策は「私自身は十分、透明だし、理解できると思う」とし、当局と市場とのコミュニケーションの重要性を指摘した。
総裁は「G20は従来から為替切り下げ競争はしない、保護主義的なことはしないと、声明でも確認している」と述べ、日銀によるマイナス金利付き量的・質的金融緩和(QQE)など主要国の中央銀行の金融政策は通貨安競争が目的ではなく、「あくまで国内物価の安定が目的だ」と語った。”と報道した(リンクは
こちら)。
「
日銀によるマイナス金利付き量的・質的金融緩和(QQE)など主要国の中央銀行の金融政策は通貨安競争が目的ではなく、「あくまで国内物価の安定が目的だ」」とあるが、こんな言い繕いをいくらしたところで、「
量的・質的金融緩和(QQE)」が「
通貨安」につながることは事実であり、それに期待していることは明らかである。
当方も唯一、アベノミクスを評価するとすれば、この点である。
しかし他方でそのような手法は支那のように国家の権力によって為替操作をしている国には、通貨安の効果の点で到底太刀打ちできないから、本質的な問題解決にはならないのである。
こんな無能な「
日銀総裁」を任命した安倍晋三首相を日本人が支持している限りは、デフレ脱却も尖閣諸島防衛も絶対にあり得ない。
- 2016/03/14(月) 00:35:01|
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