金子吉晴(維新政党新風)    行動保守の選挙担当として維新政党・新風に籍を置き真の戦後レジームからの脱却に邁進しています。

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「デフレ期または不景気時は、乗数(効果)が大きくなる」は大きな誤解!!

 「働く人のためのケインズ革命」というブログの2016年5月15日のエントリーには次のとおりある(リンクはこちら)。

②デフレ期の乗数効果は高い

 乗数は、初期投資のGDPにカウントされる割合と限界消費性向によって変わります。そして、限界消費性向は、デフレ不況期にはゆるやかに増加しているという統計があります。そうすると、デフレ期または不景気時は、乗数(効果)が大きくなることになります。

 ところが、最近では、マクロ計量モデルを見ながら、デフレ期の乗数効果は低く、財政出動を続けているうちに、デフレ状況が改善され、インフレの兆しが出始めたころから乗数効果が上がって来るという、不思議な意見が出てきています。

 例えば、宍戸駿太郎先生のDEMIOSモデルでは、毎年、等しい額の政府投資が継続して行われた場合、つまり、1年目20兆円、2年目20兆円、3年目20兆円、4年目20兆円、5年目20兆円、合計100兆円の公共投資が行われた場合の乗数が挙げられているのですが、1年目1.49、2年目2.08、3 年目2.52、4年目2.92、5年目3.36・・・というように年を追うごとに乗数が高くなっています。

 これをもって、当初はデフレを脱していないので乗数効果が低いと理解している人がいるのです。しかし、これは、デフレを脱しインフレになるにしたがって、乗数効果が高くなっているのではなく、単にタイムラグ、内生変数、その他の要因が関係しているだけです。

 マクロ計量モデルにおいては、政府支出によるマネーストックの増加が為替相場や金利に及ぼす影響も含まれていますから、それにしたがってマクロ計量モデルの乗数効果は、あたかもタイムラグであるかのように、年毎に変化して行きますが、これは内生変数による変化であり、タイムラグということではありません。

 タイムラグに関しては、次のようなことが考えられます。どのようなモデルにせよ、乗数効果の計算式Y=a+ar+ar^2+ar^3+ar^4+・・・+ar^n(n→無限)において、たった1年で最終項まで貨幣の回転が進むとは考えられません。1年目はせいぜい3~5項まででしょう。なぜなら、各項における取引というのは、政府支出を行って後に貨幣が売り上げとして入ってから、その貨幣が各個人に分配されるまでを含むからです。

 つまり、公共投資の増加分の当該会社従業員への給与の支払い、仕入れ代金の支払いと仕入れ先従業員への給与の支払い、その先の孫受け会社の仕入れ代金の支払いと仕入れ先従業員への給与の支払い、以下最後の仕入先までを含みます。すると、ある一つの投資による、各項へのインからアウトまで1か月や2か月では終わりません。

 これによって、1年目の乗数効果としては理論どおりの数値より低くなってしまいます。しかし、数年後には全ての乗数効果が出てしまい、その合計は理論どおりの乗数効果となります。



 この内容には大きな誤解がある。
 具体的には、「そうすると、デフレ期または不景気時は、乗数(効果)が大きくなることになります。」である。

 確かに「そして、限界消費性向は、デフレ不況期にはゆるやかに増加しているという統計があります。」とあるのは正しい。
 だから当方は平成不況の原因は消費税ではないと言うのである。
 実際に発表されているのは「限界消費性向」ではなく、「平均消費性向」であるが、前者は後者の導関数だから同じものと言って良い。

 問題は「乗数は、初期投資のGDPにカウントされる割合と限界消費性向によって変わります。」である。
 これがなぜ間違いであるかは、当方の2014年12月21日のエントリーで引用した知恵袋の文章を見ればすぐに分かる(リンクはこちら)。

aamm_115さん 2014/8/1620:51:11
 公務員試験のマクロ経済にの問題について質問です。写真の問題なのですが、政府支出乗数の式で、ΔY=1/1-c・ΔGではなく、ΔY=1/1-c+ct+m・Gを使うのは何故ですか?また、この2種類はどう使い分けるのですか?

ベストアンサーに選ばれた回答
g_tvohgjbhgさん 2014/8/1706:45:56
 乗数は、①開放経済or閉鎖経済②固定税or固定税+比例税、という条件の組み合わせにより決定します。
 1/1-cは、閉鎖経済かつ固定税という最もシンプルな経済を想定した場合に使用します。
 1/1-c+ct+mは、開放経済かつ固定税+比例税というほぼすべての経済を想定した場合に使用します。
 tは限界租税性向、mは限界輸入性向を示しています。
 問題文から①や②の条件の有無、tやmが与えられているかどうか、などから、どの乗数を使うかは判断します。


 この著者はまさに「閉鎖経済かつ固定税という最もシンプルな経済を想定した場合」の「乗数」を使用していることになる。
 しかしそんなもので現実を見ていれば、結果は相当ずれてくるのであり、当然、「開放経済かつ固定税+比例税というほぼすべての経済を想定した場合」の「乗数」を使用すべきである。

 mの大きさは同じエントリーの中にあるように、
mは次の数字から計算する。
 輸入91,181.40÷国内総生産(支出側)480,128.00=0.19
 輸入の場合は平均と限界とにほとんど差がないと考えられるのでそのまま採用する。

という程度である。
 しかし1-c+ctの部分もこれより若干大きい程度だから、この場合、mがかなり効いている。

 結論的に言えば、「デフレ期または不景気時」と一般化して言えるかはその国によるが、少なくとも我が国のこの20年間を見れば、「限界輸入性向」が徐々に大きくなっているので、「乗数(効果)」は小さくなっていると言える。

 さてこれは2年前の数字なので、現在の数字はどうか。
 しかも現実の経済では、中国や韓国の為替操作によって両国からの輸入額は統計上の数字よりも、中国については2倍、韓国についても1.3倍程度には評価すべきである。
 2015年ベースでそのような観点で計算し直してみる。

 まず輸入額の総額は、「784,055億円」である(リンクはこちら)。
 これに中国「194,288億円」+韓国「32,439億円」×0.3倍=204,020億円を加えなければならない。
 したがって修正された輸入額の総額は、「784,055億円」+204,020億円=988,075億円である。

 また2015年の国内総生産(支出側)は、「499,285.90」(10億円)である(リンクはこちら)。

 したがって修正された限界輸入性向は、988,075億円÷4,992,859億円=0.20である。
 修正されたものでも結果はそれほど変わらないが、これはこの2年の間に原油価格の低下と若干の経済成長があったからである。
  1. 2016/06/06(月) 07:45:55|
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