金子吉晴(維新政党新風)    行動保守の選挙担当として維新政党・新風に籍を置き真の戦後レジームからの脱却に邁進しています。

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"21世紀初頭の日本の物価下落や賃金低下は対外的な問題で起こったこと" 今月10日のエントリーと内容的に同じであるが、我が国では「当たり前」という誤った考え方が横行しているので何度でも取り上げたい!!

 「ウェブ1丁目図書館」というブログの7月17日付けのエントリーに、「21世紀初頭の日本の物価下落や賃金低下は対外的な問題で起こったこと」と題した小論がある。
 そのブログの冒頭の説明に、「読書で得ること感じること。ここはウェブ1丁目にある小さな図書館です。本の魅力をブログ形式でお伝えしています。」とあるとおり、これは書籍の内容紹介ブログであり、今回は末尾にあるとおり、2007年6月1日に発行された野口悠紀雄の「資本開国論―新たなグローバル化時代の経済戦略」の内容紹介である(リンクはこちら)。

 これは今月10日のエントリーである「デフレの原因!「グロバール化なんだから当たり前」」と内容的に同じであるが(リンクはこちら)、我が国ではこの「当たり前」という誤った考え方が横行している。
 そしてそのことが、我が国のデフレ不況の原因をありもしない内政に求め、結果としてアベノミクスへの過大な評価に繋がっていると考えるので、このことは何度でも取り上げたい。


21世紀初頭の日本の物価下落や賃金低下は対外的な問題で起こったこと

 90年代のバブル経済の崩壊以降、21世紀に入っても日本経済はなかなか上向いてきていません。
 日本経済が良くならない理由として、よく挙げられるのはデフレと少子化です。
 しかし、デフレと少子化が、90年代から続く不景気の理由と決めつけて良いのでしょうか?

旧社会主義国の市場参入
 21世紀初頭の好景気にもかかわらず、この時期に賃金や給与は増えませんでした。
 ファイナンス理論を専門とする野口悠紀雄さんは、著書「資本開国論」で、雇用者の賃金・俸給は2000年度が約232兆円に対して03年度は218兆円に減り、また、05年度の賃金・俸給は00年度との比較で4.5%減、1996年度との比較で6.7%減であることを示しています。これに対して、企業の05年度の所得は00年度との比較で7.6%増、1996年度との比較で13%増になっています。
 これだけを見ると、21世紀に入って日本企業の業績が良くなっているのは、リストラや賃金カットで人件費を抑えたからだと考えてしまいます。確かにそれも、企業業績回復の一要因ではあります。しかし、人件費のカットよりも、企業業績に大きな影響を与えた出来事が90年代に起こっています。
 それは、旧社会主義国の市場参入です。

世界レベルの賃金平準化をもたらした最大の原因は、九〇年代以降に生じた世界経済の大きな構造変化である。とくに重要な点として、中国をはじめとする旧社会主義経済圏に閉じ込められていた膨大で安価で良質の労働力が、冷戦の終結によって市場経済圏に取り込まれたことがあげられる。これは、労働と資本の比率を全世界的な規模で大きく変えた。これによって、従来から市場経済圏にあった先進工業国の賃金が下落しているのである。
(8ページ)


 90年代に入ると、多くの日本企業が中国に工場を建設するようになりました。日本の人件費と比較すると当時の中国の人件費は数十分の一でしかなかったので、同じ工業製品を生産するのであれば、日本国内よりも中国の方が遥かに有利でした。
 経済学には、要素価格均等化定理という基本的命題があります。これは、貿易が行われると、貿易財の価格だけでなく、賃金などの要素価格も均等化するというものです。アメリカやヨーロッパといった先進資本主義国を相手に貿易を行っている時は、どこも豊かな国なので、貿易によって国内労働者の賃金に大きな影響を与えるとは考えられませんでした。
 しかし、中国のような旧社会主義国は、先進資本主義諸国よりも極めて低い人件費で仕事をしている人ばかり。それまでは、賃金が国際的に均等化するというのは非現実的だと考えられていましたが、旧社会主義国の市場参入が現実に起こりうることを証明したのです。

金融緩和で家計の純利子所得が悪化
 00年代の金融緩和では、企業の設備投資が活発になることが期待されました。
 借入利子が低くなれば、企業は設備投資に必要な資金を銀行から借りやすくなります。そして、企業が活発に投資活動を行えば、デフレから脱け出し労働者の賃金や給与が上がると考えられました。
 しかし、金融緩和がもたらしたのは、家計の純利子所得のマイナスと斜陽産業の延命でしかありませんでした。

 国内の物価下落は、旧社会主義国の市場参入という対外的要因によって引き起こされたこと。だから、人件費の安い国との競争を強いられる既存産業を助けるための金融緩和策では設備投資が行われず、借金の借り換えに利用されただけでした。
 新たな産業が育たない状況では、金融政策は大きな成果を上げれないのです。



 これも10日と同じように、問題解決の手法を現状認識、原因分析、対策設定という3段階に分けるなら、現状認識は正しいが、原因分析以下は間違っている。

 現状認識は次の部分であり、これは正しい。

世界レベルの賃金平準化をもたらした最大の原因は、九〇年代以降に生じた世界経済の大きな構造変化である。とくに重要な点として、中国をはじめとする旧社会主義経済圏に閉じ込められていた膨大で安価で良質の労働力が、冷戦の終結によって市場経済圏に取り込まれたことがあげられる。これは、労働と資本の比率を全世界的な規模で大きく変えた。これによって、従来から市場経済圏にあった先進工業国の賃金が下落しているのである。(8ページ)

 では原因分析の部分はどこかというと、それは「90年代に入ると、多くの日本企業が中国に工場を建設するようになりました。日本の人件費と比較すると当時の中国の人件費は数十分の一でしかなかったので、同じ工業製品を生産するのであれば、日本国内よりも中国の方が遥かに有利でした。」の部分である。

 これは完全な誤りである。
 なぜ誤りかというと10日のエントリーの繰り返しになるが、「日本の人件費と比較すると当時の中国の人件費は数十分の一でしかなかった」かどうかは異なる通貨間では比較のしようがないのであって、すべては為替レートの問題だからである。
 したがって問題はその為替レートが適正かどうかである。

 では対策設定の部分はどうか。それは次の部分である。

国内の物価下落は、旧社会主義国の市場参入という対外的要因によって引き起こされたこと。だから、人件費の安い国との競争を強いられる既存産業を助けるための金融緩和策では設備投資が行われず、借金の借り換えに利用されただけでした。
 新たな産業が育たない状況では、金融政策は大きな成果を上げれないのです。


 これは2007年から始まる円高の前の書籍だから、「金融緩和策」の効果として、円安は全く考慮されていない。
 しかしそんな経済的手法は支那や南朝鮮の為替操作という政治的手法に全く追いつかないことは自明である。
 また「新たな産業」を育てるというような本質的原因から目を塞いだ逃避策はもちろん論外である。

 結局、本質的解決は今月10日のエントリーと同じであり、当方の主張は購買力平価説の理論を忠実に現実化せよというものである。
 具体的に言えば、外交交渉によって人件費のレベルを同等化するよう為替レートを設定するしかないということである。
  1. 2016/08/13(土) 10:52:46|
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