3月10日の産経新聞は,”
【米輸入制限】鉄鋼・アルミ関税でトランプ氏、豪州を免除表明 政権高官「ほかにいくつか除外国」
トランプ米大統領は9日、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限について、オーストラリアのターンブル首相が「とても公正で互恵的な軍事・通商関係を約束した」と明らかにし、同国を適用除外国とする方針を示した。米政権は適用除外国の本格的な検討に入っており、ムニューシン財務長官は「適用除外になる国がいくつかあるかもしれない」と述べた。
トランプ氏は9日、ツイッターで、ターンブル氏との協議を通じて「同盟国の偉大な国、オーストラリアに関税を課す必要がなくなった」と投稿した。
トランプ氏は北米自由貿易協定(NAFTA)で再交渉中のカナダとメキシコを当面、例外扱いにすると表明していたが、それ以外の具体的な適用除外国に言及したのは初めて。米政権は適用除外国を選定するにあたり、対象国による米国への安全保障・経済面の貢献を考慮して決めるとしており、同盟国である日本も除外される余地がある。”と報道した(リンクは
こちら)。
「
米政権は適用除外国を選定するにあたり、対象国による米国への安全保障・経済面の貢献を考慮して決めるとしており、同盟国である日本も除外される余地がある。」とあるが、当方は「
除外」申請しない方がいいと考える。
理由は2つある。
第1は日本農業を守るため、第2は「
米国」をTPPに引き入れるため、である。
第1については日本農業を守るためには農産物輸入に対して関税をかけることがどうしても必要である。
我が国としては「
除外」申請しなければ、米国産農産物に対して対抗措置として関税をかけることが可能になる。
農林水産省の平成29年3月29日付け「
農林水産物輸出入概況 2016年(平成28年)」という資料によれば、我が国の農産物輸入の上位5か国は次のとおりである(リンクは
こちらの11頁)。
単位:億円
区分 1位 2位 3位 4位 5位
農産物 米国 中国 豪州 タイ カナダ
13,529(23.2) 7,071(12.1) 4,059(7.0) 3,945(6.8) 3,545(6.1)
注:( )は、金額ベースの構成比(%)である 1位の「
米国」は特に「
とうもろこし」や「
大豆」など穀物の輸入比率が高い(上記の12頁)。
したがって農地を守るためには米国への関税維持は非常に効果的である。
第2についてはTPPを対中包囲網に転化させるためには「
米国」を引き入れることがどうしても必要である。
この「
鉄鋼・アルミ関税」はTPP協定に違反するから、そのためにはTPP11か国全部の「
除外」が必要である。
TPP11か国とは「
オーストラリア、ブルネイ・ダルサラーム、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール及びベトナム」である(リンクは
こちら)。
しかしこの中には「
除外」が難しい国もあろうから、米国が自主的にTPP11か国を制度の対象から外すように持っていかなければならない。
そのためにはTPP11か国は結束して「
米国」に当たる必要があり、我が国は抜け駆けして「
除外」申請すべきではない。
安倍政権が当方のような主張をする可能性は全くないが、国益上はこちらの方が絶対にプラスである。
- 2018/03/11(日) 07:50:59|
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