"「消費税の30年」失敗の本質 デフレ下では景気腰折れに 財政金融同時発動が必要だ" 家計最終消費支出の全体比は1994年以降基本的には右肩上がり。国内需要全体がそう。1998年以降の日本経済の低迷の原因は純輸出の全体比の低下に尽きる!!
9月6日のzakzakは,”【日本の解き方】「消費税の30年」失敗の本質 デフレ下では景気腰折れに 財政金融同時発動が必要だ
日本に消費税が導入されたのは1989(平成元)年だが、それから約30年、日本経済にどのような影響を与えたのか。新しい時代に10%に引き上げて大丈夫なのか。
消費税率の歴史をみると、89年4月から3%、97年4月から5%、2014年4月から8%となった。
3回の消費増税では、1回目の89年の3%消費税創設は、経済への影響は少なく、名目成長率7・3%、実質成長率4・6%だった。その理由は、バブル経済の中で景気過熱感があったことと、消費税創設とともに、個別物品税の廃止を行ったからだ。
97年の3%から5%への消費増税は、名目成長率0・8%、実質成長率0%と経済への悪影響があった。このときには既にデフレ経済になっており、先行する所得税減税があったが不十分だった。
なお、この消費増税で景気が落ち込んだにもかかわらず、当時の大蔵省は景気後退の原因をアジア通貨危機のためだとし、学者などを動員してその説明を広めた。アジア危機が原因といっても、震源地である韓国やタイの景気回復は日本より早かった。日本だけが景気低迷していたのは、日本固有の消費増税によるものだといえる。
2014年の5%から8%への消費増税では、名目成長率2・0%、実質成長率▲0・5%と大きく成長が落ち込んだ。なぜか「消費増税しても景気が悪くならない」という過度な楽観論が広く流布していたが、デフレ経済からまだ脱却していなかったうえ、ネット(正味)増税だったので、景気が悪くなるのは当然だった。
こうしてみると、平成時代の3回の消費増税は、はじめこそバブル景気だったので失敗ではなかったが、その後の2回はデフレ経済下に行われたため失敗だったといえる。これから出てくる教訓は、デフレ経済を完全に脱し、バブル経済のような好景気でないと消費増税は景気の腰を折るということだ。
その意味では、来年度予算で積極財政策をとり、同時に一層の金融緩和を行う「財政金融同時発動」によって、来年度の景気をデフレ脱却どころか過熱気味にする必要がある。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)”と報道した(リンクはこちら)。
「こうしてみると、平成時代の3回の消費増税は、はじめこそバブル景気だったので失敗ではなかったが、その後の2回はデフレ経済下に行われたため失敗だったといえる。」とあるが、1回目の「89年4月」と2回目の「97年4月」の「消費増税」を行った際には他方で直接税の減税をやっているのだから、「消費増税」があったところでGDPが落ち込むという理由には乏しい。
このことは統計を見ても明らかである。
内閣府の「名目暦年」のGDP統計において、各項目の全体比を計算してみると、次表のとおりである(リンクはこちら)。
名目暦年 (単位:10億円)
これを見ると「家計最終消費支出」の全体比は1994年以降、基本的には右肩上がりである。
確かに「消費増税」だけであった3回目の「2014年4月」以降若干の落ち込みを見せているが、これは「家計最終消費支出」の実額が理屈どおり3%近く増えているところからすると、GDPの算定基準の変更による実体のない「国内総生産(支出側)」の増額により全体比が低下しただけのことだろう。
また1994年以降、基本的には右肩上がりであるのは「家計最終消費支出」だけではなく、「国内需要」全体がそうである。
要するに「公的需要」も含めて国内経済には何の問題もないということである。
では1998年以降の日本経済の低迷の原因はどこにあるかというと、これは「純輸出」の全体比の低下に尽きる。
この「純輸出」の全体比の落ち込みは所詮小さいと思うかもしれないが、それは「純輸出」の数字が実態よりも小さく出るからである。
なぜそうなのかと言えば、名目GDP統計の各項目の中で「輸入」だけが為替レートによる換算が入るからである。
したがって中国の人民元のようにあるべき数値よりも大幅に安い為替があると、「輸入」がその分だけ小さくなり、逆に「純輸出」は大きくなることになる。
結論を言えば、「その意味では、来年度予算で積極財政策をとり、同時に一層の金融緩和を行う「財政金融同時発動」によって、来年度の景気をデフレ脱却どころか過熱気味にする必要がある。」というような政策をいくら行ったところで、しばらくの間はいいかもしれないが、本来の不調の原因とは無関係な対策だから、すぐにプラス効果よりも副作用のマイナス効果の方が大きくなるということである。
我が国が行わなければならない経済対策は直ちにトランプ政権と連携して対中貿易戦争を行い、「純輸出」の落ち込みの主因である対中赤字をゼロにすることである。
日本に消費税が導入されたのは1989(平成元)年だが、それから約30年、日本経済にどのような影響を与えたのか。新しい時代に10%に引き上げて大丈夫なのか。
消費税率の歴史をみると、89年4月から3%、97年4月から5%、2014年4月から8%となった。
3回の消費増税では、1回目の89年の3%消費税創設は、経済への影響は少なく、名目成長率7・3%、実質成長率4・6%だった。その理由は、バブル経済の中で景気過熱感があったことと、消費税創設とともに、個別物品税の廃止を行ったからだ。
97年の3%から5%への消費増税は、名目成長率0・8%、実質成長率0%と経済への悪影響があった。このときには既にデフレ経済になっており、先行する所得税減税があったが不十分だった。
なお、この消費増税で景気が落ち込んだにもかかわらず、当時の大蔵省は景気後退の原因をアジア通貨危機のためだとし、学者などを動員してその説明を広めた。アジア危機が原因といっても、震源地である韓国やタイの景気回復は日本より早かった。日本だけが景気低迷していたのは、日本固有の消費増税によるものだといえる。
2014年の5%から8%への消費増税では、名目成長率2・0%、実質成長率▲0・5%と大きく成長が落ち込んだ。なぜか「消費増税しても景気が悪くならない」という過度な楽観論が広く流布していたが、デフレ経済からまだ脱却していなかったうえ、ネット(正味)増税だったので、景気が悪くなるのは当然だった。
こうしてみると、平成時代の3回の消費増税は、はじめこそバブル景気だったので失敗ではなかったが、その後の2回はデフレ経済下に行われたため失敗だったといえる。これから出てくる教訓は、デフレ経済を完全に脱し、バブル経済のような好景気でないと消費増税は景気の腰を折るということだ。
その意味では、来年度予算で積極財政策をとり、同時に一層の金融緩和を行う「財政金融同時発動」によって、来年度の景気をデフレ脱却どころか過熱気味にする必要がある。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)”と報道した(リンクはこちら)。
「こうしてみると、平成時代の3回の消費増税は、はじめこそバブル景気だったので失敗ではなかったが、その後の2回はデフレ経済下に行われたため失敗だったといえる。」とあるが、1回目の「89年4月」と2回目の「97年4月」の「消費増税」を行った際には他方で直接税の減税をやっているのだから、「消費増税」があったところでGDPが落ち込むという理由には乏しい。
このことは統計を見ても明らかである。
内閣府の「名目暦年」のGDP統計において、各項目の全体比を計算してみると、次表のとおりである(リンクはこちら)。
名目暦年 (単位:10億円)
年月 | 国内総生産(支出側) | 家計最終消費支出 | 全体比 | 国内需要 | 全体比 | 純輸出 | 全体比 |
1994/1-12. | 501,537.70 | 263,785.80 | 52.60% | 491,994.20 | 98.10% | 9,543.50 | 1.90% |
1996/1-12. | 525,806.90 | 275,002.20 | 52.30% | 523,526.80 | 99.60% | 2,280.10 | 0.40% |
1997/1-12. | 534,142.50 | 280,139.60 | 52.40% | 528,496.80 | 98.90% | 5,645.80 | 1.10% |
2000/1-12. | 526,706.00 | 280,997.90 | 53.40% | 519,177.70 | 98.60% | 7,528.30 | 1.40% |
2005/1-12. | 524,132.80 | 285,671.50 | 54.50% | 516,221.60 | 98.50% | 7,911.30 | 1.50% |
2010/1-12. | 500,353.90 | 282,864.60 | 56.50% | 493,046.20 | 98.50% | 7,307.70 | 1.50% |
2014/1-12. | 513,876.00 | 293,078.20 | 57.00% | 526,543.90 | 102.50% | -12,667.90 | -2.50% |
2015/1-12. | 531,985.80 | 293,724.30 | 55.20% | 534,212.40 | 100.40% | -2,226.70 | -0.40% |
2016/1-12. | 538,532.80 | 291,936.00 | 54.20% | 533,225.10 | 99.00% | 5,307.70 | 1.00% |
2017/1-12. | 546,608.30 | 295,167.80 | 54.00% | 541,552.10 | 99.10% | 5,056.20 | 0.90% |
これを見ると「家計最終消費支出」の全体比は1994年以降、基本的には右肩上がりである。
確かに「消費増税」だけであった3回目の「2014年4月」以降若干の落ち込みを見せているが、これは「家計最終消費支出」の実額が理屈どおり3%近く増えているところからすると、GDPの算定基準の変更による実体のない「国内総生産(支出側)」の増額により全体比が低下しただけのことだろう。
また1994年以降、基本的には右肩上がりであるのは「家計最終消費支出」だけではなく、「国内需要」全体がそうである。
要するに「公的需要」も含めて国内経済には何の問題もないということである。
では1998年以降の日本経済の低迷の原因はどこにあるかというと、これは「純輸出」の全体比の低下に尽きる。
この「純輸出」の全体比の落ち込みは所詮小さいと思うかもしれないが、それは「純輸出」の数字が実態よりも小さく出るからである。
なぜそうなのかと言えば、名目GDP統計の各項目の中で「輸入」だけが為替レートによる換算が入るからである。
したがって中国の人民元のようにあるべき数値よりも大幅に安い為替があると、「輸入」がその分だけ小さくなり、逆に「純輸出」は大きくなることになる。
結論を言えば、「その意味では、来年度予算で積極財政策をとり、同時に一層の金融緩和を行う「財政金融同時発動」によって、来年度の景気をデフレ脱却どころか過熱気味にする必要がある。」というような政策をいくら行ったところで、しばらくの間はいいかもしれないが、本来の不調の原因とは無関係な対策だから、すぐにプラス効果よりも副作用のマイナス効果の方が大きくなるということである。
我が国が行わなければならない経済対策は直ちにトランプ政権と連携して対中貿易戦争を行い、「純輸出」の落ち込みの主因である対中赤字をゼロにすることである。
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